登録有形文化財

信州大学繊維学部講堂

(旧上田蚕糸専門学校講堂)

 この講堂は、文部省の柴垣鼎太郎の設計により、昭和4年(1929)に完成しました。建物は洋風の木造2階建てで、建築面積は延べ562平方メートルあります。屋根は切妻造で、瓦棒鉄板葺、外壁は下見板張りです。外観は正面に切妻破風を2段に重ね、三角の張り出し窓を付けた特徴ある構成をとっています。内部は大きな吹き抜けとなっており、天井は折上格天井です。2階は前後に控室を設け、側面と後方はギャラリーとなっています。細部の仕上げは、床は寄木張り、壁は木摺打漆喰大壁で、腰板張り、窓は2連の上げ下げ窓で、天井は格縁内を板張り、他の天井は木摺打漆喰としています。
 建築様式は木造ゴシック系の建物ですが、時計回り、三角張り出し窓、入口の持ち送りなどの意匠には、直線による構成で機能性や合理性を重視したセセッションの様式が採用されています。
 この建物で特筆すべき特徴は、蚕糸にちなんだ桑・繭・蛾の意匠が内部の各所に付けられている点です。入口天井の換気口には繭と蛾、ステージの柱には桑、アーチの縁飾りには蛾と桑、演台には蛾と繭、脇台には桑が使われています。
 文化庁/長野県教育委員会/上田市教育委員会